年末調整は社労士?税理士?依頼先を迷った時に知っておくべき「法律の壁」と賢い使い分け byケアマネ社労士@横浜
みなさんこんにちは。ディライト社会保険労務士事務所の正躰です。
年末が近づくと憂鬱になる業務といえば「年末調整」です。 従業員から書類を回収し、計算し、税額を確定させる……この繁雑な作業をアウトソーシングしたいと考えたとき、ふと疑問に思うことはありませんか?
「これって、顧問の社労士さんにお願いしていいの? それとも税理士さん?」
実はこの問題、法律的な観点から見ると非常に明確なルールが存在します。今回は、年末調整における「社労士と税理士の境界線」と、実務でのスムーズな依頼方法について解説します。
◆結論:年末調整の「税務判断・申告」は税理士の独占業務
結論から申し上げますと、年末調整の「本質的な業務(税額の確定や申告)」を業として行えるのは、原則として「税理士」だけです。
これは、日本の法律で明確に定められています。
法的根拠:税理士法 第52条
税理士法では、税理士(または税理士法人)でない者が、報酬を得て税務代理、税務書類の作成、税務相談を行うことを禁止しています。
【税理士法 第52条(税理士業務の制限)】 税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
年末調整は「所得税」という税金に関わる手続きです。 したがって、扶養控除の判定などの「税務判断」や、税務署への「申告」を代行することは、税理士の独占業務となります。
◆じゃあ、社労士は何をしてくれるの?
「でも、給与計算を社労士にお願いしているから、その流れで年末調整もやってくれているよ?」
そう思われる方も多いでしょう。ここで重要になるのが、「計算事務」と「税務代理」の違いです。
社労士ができること(給与計算の延長)
社労士は、給与計算のプロフェッショナルです。年末調整は「1年間の給与計算の締めくくり」という側面も持っているため、以下の範囲であれば社労士が関与することは一般的です。
・書類の配布・回収の代行
・データの入力補助
・給与計算システム上での過不足税額の機械的な算出
これらはあくまで「会社の事務作業の代行(計算事務)」として行われる場合であり、「税務判断」を含まない範囲に留める必要があります。
【比較表】専門家による役割の違い
| 業務内容 | 税理士 | 社労士 |
| 独占業務 | 税務(所得税・法人税など) | 労務・社会保険(雇用保険・健保など) |
| 年末調整の税務判断 | ◯ 可能 | × 不可(法違反の恐れあり) |
| 法定調書の作成・提出 | ◯ 可能 | × 不可 |
| 給与計算業務 | △(専門外だが行う事務所もある) | ◯ 専門分野 |
| 社会保険料の計算 | △(社労士と連携が必要) | ◯ 専門分野 |
◆どちらに依頼するのがベスト? ケース別判断基準
法律の建前は理解した上で、実務としてどうアウトソーシングすべきか、2つのパターンで解説します。
パターンA:顧問税理士がいる場合
→ 基本は「税理士」へ依頼
最も安全かつ一般的なのは、顧問税理士に依頼することです。特に、従業員の扶養状況が複雑な場合や、住宅ローン控除の 初年度適用など、専門的な知識が必要なケースでは税理士の判断が不可欠です。
ただし、給与計算を自社や社労士が行っている場合は、データを税理士に渡す連携の手間が発生します。
パターンB:給与計算を社労士に委託している場合
→ 「計算」は社労士、「最終チェック」は税理士(または自社)
給与計算の流れで社労士に年末調整の「計算事務」まで依頼するケースも増えています。 この場合、社労士事務所はあくまで「計算代行」を行い、最終的な「税務上の責任(チェック)」は会社側(もしくは会社が契約する税理士)が持つ、という形式をとるのが一般的です。
注意点 社労士事務所によっては、提携している税理士とセットで年末調整を受けている場合もあります。依頼する際は、「税務の責任範囲はどうなっていますか?」と確認しておくと安心です。
◆依頼時のトラブルを防ぐためのポイント
年末調整を外部に依頼する際は、以下の3点を明確にしておきましょう。
1.責任の所在: 税務調査が入った際、誰が説明責任を負うのか。
2.納品物の範囲: 源泉徴収票の作成までか、役所への給与支払報告書の提出(法定調書合計表の作成)まで含むのか。
※法定調書合計表の作成・提出は税理士業務です。
3.スケジュールの共有: 12月の給与支払日に間に合わせるための資料提出期限。
◆まとめ:餅は餅屋へ。連携がカギ!
整理すると、以下のようになります。
・税金のプロは「税理士」:法的な税務代理・申告・判断は税理士へ。
・給与のプロは「社労士」:計算プロセスの整備やデータ入力は社労士へ。
「どちらか一方」と決めつけるのではなく、「税理士に最終確認をお願いしたいが、準備作業は給与計算をしている社労士にお願いできないか?」といった形で、両専門家の強みを活かす連携をとるのが、企業にとって最もスムーズでリスクの少ない方法と言えるでしょう。
◆次にあなたがすべきこと
もし現在、年末調整の依頼先で迷われている場合は、以下のステップで進めてみてください。
・現在の顧問税理士に「年末調整の対応範囲と費用」を確認する。
・給与計算を依頼している社労士がいれば、「年末調整の計算事務(データ入力等)の対応可否」を確認する。
・両者の見積もりと手間を比較して決定する。
当事務所では、給与計算から年末調整の準備までトータルでサポートしつつ、提携税理士とのスムーズな連携が可能です。「どこまで頼めるの?」といったご相談も、お気軽にお問い合わせください。
問い合わせフォーム:https://delight-sr.com/contact/
以上


