歴史に学ぶ労務管理シリーズ!!パワハラ編:比叡山焼き討ち 〜「根絶やし」という名の過剰攻撃〜 byケアマネ社労士@横浜

みなさんこんにちは。ディライト社会保険労務士事務所の正躰です。

歴史的な事例を現代の法令に照らし合わせる。歴史系社労士のケアマネ社労士!!が送る
「歴史から学ぶ労務管理シリーズ」第4回目です。

第4回目はパワハラ界のカリスマ!!織田信長さんの比叡山焼き討ちについて考察したいと思います。

なお、このシリーズで扱う内容は一般的によく知られている歴史的な事象を題材にしています。そのため、厳密な史実とは異なる部分もあるかもしれませんが、その点は何卒ご容赦いただき、楽しんで読み進めていただければ幸いです。

事例紹介
 元亀2年(1571年)、織田信長は長年対立していた比叡山延暦寺に対し、前代未聞の焼き討ちを決行しました。対象は武装した僧兵だけでなく、山内に住む婦女子や子供まで及んだとされ、まさに「根絶やし」の虐殺となりました。信長にとっては「反抗勢力を徹底的に叩き潰す」という戦略的な合理性があったのかもしれません。しかし、信仰の山を完全に焼き払うというその非人道的な手法は、当時の日本中に衝撃と恐怖、そして強い反感を与えました。これは、「目的達成のためなら手段を選ばない」という組織の論理が、人としての倫理の一線を越えてしまった歴史的瞬間です。

◆合理性か、狂気か? 敵対組織を「抹殺」した信長の決断
 比叡山焼き討ちは、単なる軍事行動ではありません。それは「敵対するものは、その存在理由ごと根絶やしにする」という極端な排除の論理の体現でした。現代の視点でこの事例をハラスメントとして捉えるなら、相手の生活基盤や存在意義まで徹底的に破壊する「切り離し」の最上級であり、生存権を脅かす「身体的な攻撃」の極致です。信長の下で実行役を務めた明智光秀らは、事前の交渉で回避を模索した形跡もありますが、最終的には主君の「殲滅(せんめつ)」という過激な命令に従わざるを得ませんでした。この時、現場の指揮官たちが抱いたであろう「良心の呵責」は、現代のブラックな組織に通じるものがあります。

◆ビジネスにおける「根絶やし」。現代の違法な競合排除とは
 この焼き討ちを現代のビジネスシーンに置き換えると、単なる競争を越えた「不当な事業妨害」や「パワーハラスメント(過大な要求)」に該当します。

  • 行き過ぎた攻撃: 競合他社を市場から追い出すために、虚偽の情報を流布したり、不当な廉売で相手の存続を不可能にさせる行為。
  • 非人道的な業務命令: 部下に対し、法に触れるような強引な営業や、相手を精神的に破滅させるような「詰め」を強要すること。

これは現代のパワハラ指針にある「個の侵害」や、独占禁止法・不正競争防止法に抵触する行為であり、「勝てば何をしてもいい」という考え方は、組織を反社会的勢力へと転落させるリスクを孕んでいます。

◆「一線を越える」予兆。あなたの職場の攻撃性は大丈夫か?
 「焼き討ち」のような極端な暴力は稀でも、現代の職場には「根絶やし」に近いメンタリティが潜んでいます。

  • 特定の社員への「兵糧攻め」: 気に入らない部下や同僚に対し、必要な情報を遮断し、仕事を与えず、自発的な退職に追い込むまで徹底的に無視する。
  • 競合への「禁じ手」の使用: 相手の弱みに付け込み、再起不能になるまで公然と批判し続ける。
  • 「毒を食らわば皿まで」の風潮: 「会社のためなら嘘も隠蔽も、相手への攻撃も厭わない」という歪んだ帰属意識。

これらは、組織内に「勝つためには誰かを犠牲にしていい」という毒性のある文化を定着させ、いずれ刃が内部(自分たち)へ向かう原因となります。

◆暴走する「正義」を止める。個人の良心を守るための防波堤
 組織の論理が狂い始めたとき、私たちはどのように踏みとどまるべきでしょうか。

1.「越えてはならない一線」を言語化する: どんなに厳しい競争下でも、「法に触れること」「人の尊厳を奪うこと」は絶対にしない、という倫理的デッドラインを自分の中に持つこと。

2.現場からの「NO」の重要性: トップの命令が非人道的であると感じた場合、一歩立ち止まり、リスク管理の観点から「それは会社を破滅させる」と提言できる勇気を持つこと。

3.組織外の視点を持つ: 組織の論理に染まりきると、外部の常識が見えなくなります。外部の友人や専門家、あるいは歴史の教訓に照らし合わせ、自分の行動を客観視し続けることが重要です。

◆現代の「延暦寺」を燃やさないために

信長の失策を繰り返さないための、各階層への提言です。

経営層の視点
 競合他社や反対勢力を「敵」として徹底排除する手法は、短期的には勝利をもたらしますが、長期的には社会的な信頼失墜とレピュテーションリスクを招きます。リーダーは、勝利の基準に「社会的倫理」を含めるべきです。「戦い方」に美学と倫理がない組織に、持続可能な未来はありません。

管理層の視点
 トップから非人道的な命令が下った際、それをそのまま現場に流す「伝声管」であってはなりません。現場の指揮官として、「その命令は長期的に見て組織に利益をもたらすか?」を問い直し、代替案を提示する。部下の良心を守ることも、マネジメントの重要な職責です。

社員層の視点
 組織の命令が自分の良心と衝突したとき、その違和感を無視しないでください。「仕事だから仕方ない」という言い訳は、後に深い精神的ダメージとなります。 ひとりで抱え込まず、内部通報制度や外部の専門機関を利用し、自分の倫理観を「組織の暴走」から守るためのアクションを起こしてください。

以上にて、「比叡山の焼き討ち」をパワーハラスメントの視点で考察しみてみました。

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興味をもっていただけた経営者の皆様、担当者の皆様、ぜひ社員研修にご活用いただければと思います。

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