「名ばかり役員について考える」byケアマネ社労士@横浜

みなさんこんにちは。ディライト社会保険労務士事務所の正躰です。

突然ですが「名ばかり管理職」。

課長や部長の役職にある社員が、労働基準法上の「管理監督者」の要件を満たさないにもかかわらず、
残業代の支払いが免除されることによる未払い残業代の発生、過重労働等を強いられる等の問題を抱える。

上記は「名ばかり管理職」の問題ですが、この「名ばかり管理職」ならぬ「名ばかり役員」というものも存在します。

「名ばかり役員」
役員の肩書があっても実質的な権限がなく、労働者としての保護が受けられない一方で、会社に対する責任を負う可能性があります。
主な問題点として、労働者の保護が受けられない(労災認定や残業代請求が困難)、責任だけ押し付けられる(監視・監督義務違反など)、会社から不当に人件費を抑制される(モチベーション低下や不当な低賃金)といった点が挙げられます。

「名ばかり管理職」は日本マクドナルド事件などで、皆さんも耳にしたことがあるかと思いますが、
「名ばかり役員」・・・こちらはあまり耳にすることも無い反面、「名ばかり管理職」よりもたちが悪いといった印象を持ちます。
では「名ばかり役員」とはどのような判断基準で「名ばかり役員」となってしまうのかポイントを解説します。

名ばかり役員の判断基準

名ばかり役員とは、取締役などの役員の名称・地位を与えられているものの、実質的には一般の労働者と同様の働き方をしている者のことです。労働基準法上は役員であっても実態に基づいて労働者性が判断されます。

判断の基本的な考え方

労働者性の判断は、肩書きや契約形式ではなく、使用者の指揮監督の下で業務を遂行し、その労務の対償として賃金をもらっているかどうかという実態で判断されます。
具体的には、「使用」性と「賃金」性の2つの観点から総合的に判断します。

「使用」性に関する判断要素

判断項目労働者性が認められやすい状況
業務の諾否業務の遂行を求められた際に断る自由がない
指揮監督関係具体的な指揮命令や指揮監督関係の下で業務を遂行している
時間・場所の拘束業務の遂行にあたって場所や時間が具体的に指定され、管理されている
代替性業務の遂行にあたって他の者に変わってもらうことが予定されていない

「賃金」性に関する判断要素

判断項目労働者性が認められやすい状況
報酬の算定方法報酬が時間を基礎に決められている
報酬水準同様の業務に従事する他の被用者と比べて高額でない
報酬の性質報酬が実質的に固定給となっている
専属性他の事業に携わることができない程度に専属的に業務に従事している

その他の補充的判断要素

判断項目内容
採用プロセス他の被用者と同じまたは類似した採用プロセスを経ている
税務・社会保険給与所得としての源泉徴収や労働保険・社会保険の適用対象となっている
福利厚生退職金制度や福利厚生制度の適用がある
服務規律一般従業員と同様の服務規律の適用がある

判断上の重要なポイント

  • 実質的判断: 当事者の主観や契約書の記載等の形式によって決まるのではなく、実質的に判断される
  • 罰則との関係: 労働基準法が罰則を伴う取締法規であることから、類推的な解釈や判断は適切ではない
  • 業務の性質考慮: 時間や場所の拘束については、業務の性質上拘束せざるを得ない場合があるため、一律に判断することは適切ではない

要は、実態判断ということですね。
もし役員人事について、気になる点などあれば
ディライト社会保険労務士事務所までご連絡ください!!

以上