歴史に学ぶ労務管理シリーズ!!パワハラ編:鉄の掟、局中法度 byケアマネ社労士@横浜
みなさんこんにちは。ディライト社会保険労務士事務所の正躰です。
歴史的な事例を現代の法令に照らし合わせる。歴史系社労士のケアマネ社労士!!が送る
「歴史から学ぶ労務管理シリーズ」第2回目です。
好きな方も多いと思います。第2回目は新撰組を題材に挙げてみます。
織田信長に続き、新撰組と聞くだけでハラスメントの匂いがプンプンしますね♬
では第2回目は「鉄の掟、局中法度」をハラスメント事案として考察してみます。
なお、このシリーズで扱う内容は一般的によく知られている歴史的な事象を題材にしています。そのため、厳密な史実とは異なる部分もあるかもしれませんが、その点は何卒ご容赦いただき、楽しんで読み進めていただければ幸いです。
事例紹介
幕末の京都を震撼させた最強の剣客集団、新選組。しかし、その強さの裏には「局中法度」と呼ばれる極めて厳しい掟がありました。「士道ニ背キ間敷事(武士として背くまじきこと)」という曖昧かつ絶対的なルールの下、違反者は即座に「切腹」を命じられました。驚くべきことに、新選組の死者の多くは、敵との戦いではなく、内部の規律違反による粛清だったと言われています。組織の引き締めを狙ったこの恐怖支配は、山南敬助や伊東甲子太郎といった有能な幹部の離反や処刑を招き、組織内部に深刻な亀裂を生みました。これは、行き過ぎた管理主義が招く悲劇の典型例です。
敵よりも「身内」を粛正した組織? 新選組に見る「ルールハラスメント」の原点
「規律を破れば即、切腹」。新選組の副長・土方歳三が敷いたこの鉄の掟は、現代の視点で見れば、ルールを盾にした明確な「パワーハラスメント(過大な要求・精神的な攻撃)」です。総長の山南敬助らが粛清された事実は、異論や少しのミスも許さない「コンプライアンスの暴走」が、いかにして有能な人材を追い詰め、排除するかを物語っています。ルールが「秩序を守る盾」ではなく、「社員を脅す凶器」と化した時、そこはもはや職場ではなく、心理的安全性が欠如した「ハラスメントの温床」となります。この歴史は、行き過ぎた管理主義が組織を内部から壊死させる危険性を、残酷なまでに教えてくれます。
「コンプラ」という名の凶器。現代版「切腹」の正体
これを現代企業に置き換えると、コンプライアンスや社則を悪用した「過大な要求」や「精神的な攻撃」にあたります。「士道不覚悟」という曖昧な理由で切腹させるのは、現代で言えば「社風に合わない」「やる気がない」といった主観的な理由で、執拗な退職勧奨や懲戒解雇をちらつかせる行為と同義です。また、ミスをした社員を見せしめのように厳しく処分する行為は、労働契約法上の「懲戒権の濫用」に当たる可能性が高いでしょう。ルールは組織を守るためのものであり、社員を精神的に追い詰め、排除するための道具ではないという認識が欠落しています。
あなたの部署は「新撰組」化していないか? 恐怖政治のサイン
現代のオフィスで、刀こそ振り回されませんが、次のような「局中法度」的な空気はありませんか?
・ ゼロ・トレランス(不寛容): 些細なミスで始末書を強要したり、激しく叱責する。
・ 異論排除の空気: 上司の方針に少しでも意見すると「反抗的」と見なされ、干される。
・ 相互監視: 同僚のミスを報告させたり、密告を推奨するような雰囲気がある。
・ 過度な管理: 分単位の業務報告や、意味のない厳格なルールの押し付け。
これらは、社員から「心理的安全性」を奪い、「言われたことだけやる」「ミスを隠す」という萎縮した組織風土(隠蔽体質)を生み出します。
「恐怖」で人は動かない。心理的安全性を高める脱却法
恐怖支配からの脱却には、組織のOS(基本ソフト)を書き換える必要があります。
・ ルールを見直す: そのルールは「何のため」にあるのか? 形式的な厳守よりも、目的(成果や安全)を重視する柔軟性を持ちましょう。
・ ミスを許容する: ミスを「個人の罪」として罰するのではなく、「プロセスの欠陥」として捉え、改善の材料にする文化(学習する組織)へ転換が必要です。
・ 声を上げる(逃げる): もし組織が「切腹(不当な処分)」を迫るなら、外部のユニオンや弁護士、労基署という現代の「駆け込み寺」を利用してください。現代において、会社のために命や心を捨てる必要はどこにもありません。
現代の「新撰組」で生き残るために
「局中法度」の教訓を、各階層はどう活かすべきでしょうか。
経営層(近藤・土方)の視点
「厳罰」はマネジメントの敗北です。恐怖で統制すれば、一時的に組織は引き締まりますが、長期的にはイノベーションの芽を摘み、優秀な人材(山南や伊東のような)は去っていきます。コンプライアンスは重要ですが、それを「排除の論理」に使ってはいけません。「心理的安全性」の確保こそが、最強の組織を作る条件であると認識してください。
管理層(組長・隊長)の視点
上からのルールをただ盲目的に適用する「思考停止の執行者」にならないでください。部下がミスをした際、すぐに「切腹(処分)」を考えるのではなく、なぜそうなったのか背景を聞き出し、支援するのが役割です。ルールと現場の板挟みになった時こそ、部下を守る盾となることが、真のリーダーシップです。
社員層(平隊士)の視点
会社のルールが、あなたの安全や尊厳よりも優先されることはありません。「おかしい」と感じるルールや処分には、記録を残し、同調しないことが重要です。新選組からは脱走できませんでしたが、現代の企業からは「転職」という名の戦略的撤退が可能です。組織の恐怖に飲み込まれず、自分の心身を最優先に守ってください。
以上にて、「鉄の掟、局中法度」をパワーハラスメントの視点で考察しみてみました。
ディライト社会保険労務士事務所では「歴史に学ぶ労務管理シリーズ」として各種研修もご用意しております。
興味をもっていただけた経営者の皆様、担当者の皆様、ぜひ社員研修にご活用いただければと思います。
研修の他、労務に関する問題等もお気軽にお問い合わせください。
問い合わせフォーム:https://delight-sr.com/contact/
以上



