歴史に学ぶ労務管理シリーズ!!パワハラ編:いいがかり!!方広寺鐘銘事件 byケアマネ社労士@横浜
みなさんこんにちは。ディライト社会保険労務士事務所の正躰です。
歴史的な事例を現代の法令に照らし合わせる。歴史系社労士のケアマネ社労士!!が送る
「歴史から学ぶ労務管理シリーズ」第3回目です。
第3回目は徳川家VS豊臣家の体勢を決した大阪冬の陣への引き金となった
「方広寺鐘銘事件」をハラスメントの観点から考察してみます。
なお、このシリーズで扱う内容は一般的によく知られている歴史的な事象を題材にしています。そのため、厳密な史実とは異なる部分もあるかもしれませんが、その点は何卒ご容赦いただき、楽しんで読み進めていただければ幸いです。
事例紹介
慶長19年(1614年)、豊臣秀頼が再建した方広寺の大仏殿の鐘に刻まれた銘文「国家安康」「君臣豊楽」。平和と繁栄を願うこの言葉に対し、徳川家康は「家康の名を分断し、呪っている」「豊臣が君主となり、徳川を臣下にする意図がある」と難癖(言いがかり)をつけました。家康にとって、この鐘銘は豊臣家を滅ぼすための「言いがかり」の口実として完璧でした。この歴史的な出来事は、現代のビジネスシーンや職場で、些細な事実や言葉尻を意図的に歪曲し、相手を精神的に追い詰める行為の危険性を教えてくれます。
読解力か、言いがかりか? 家康が仕掛けた「言葉の罠」
方広寺鐘銘事件は、歴史上最も有名な「論理のすり替え」と「揚げ足取り」の事例です。家康が問題視した「国家安康」の「家康」の字が分断されている点や、「君臣豊楽」の「君(君主)」を豊臣に結びつける解釈は、客観的に見れば不当で強引な「こじつけ」でした。しかし、家康は自身の権力と論理を背景に、この不当な主張を「真実」として押し通し、豊臣側に執拗な説明責任を課しました。これは、「目的(豊臣排除)のためなら、言葉の解釈を捻じ曲げる」という、現代でいう「言いがかりハラスメント」の冷酷な手法を象徴しています。
「こじつけ」は立派なパワハラ。家康の手法を定義する
家康が豊臣家に行った行為は、現代のパワハラの類型で言えば、明確に「精神的な攻撃」に該当します。このタイプの攻撃は、暴言だけでなく、論理を歪めて不当な要求や責任を押し付けることで、相手に過度な心理的負担を与える行為を含みます。
・ 論理のすり替え: 些細なミスや中立的な言葉を、意図的に悪意のある解釈に捻じ曲げる。
・ 不当な説明責任: 言いがかりに基づき、無限に続く謝罪や釈明を要求する。
これらの行為は、被害者の自尊心と判断能力を奪い、「すべて自分が悪いのではないか」という精神的な追い詰め方につながります。
あなたの隣にもいる「揚げ足取り」上司の危険性
現代の職場で、家康のような「こじつけ」は様々な形で現れます。
・ 報告書の誤字脱字: 報告書の内容ではなく、些細な誤字を執拗に攻め、人格や能力否定につなげる。
・ メールの言葉尻: 「〜と思われます」といった表現を「逃げている」と解釈し、論点をすり替えて糾弾する。
・ 会議での発言の歪曲: 過去に発言した内容を文脈を無視して取り上げ、「言っていることが違う」と見せしめのように吊るし上げる。
これらは、部下の信頼感を破壊し、発言を萎縮させ、組織全体を「自己保身」に走らせる、極めて危険なマネジメント手法です。
「言いがかり」に感情的にならないための防御技術
理不尽な「こじつけ」を受けた際、感情的になって反論しても、相手の術中にはまるだけです。冷静沈着に「証拠」と「論理」で対応する技術を身につけましょう。
・ 第三者への相談: 信頼できる上司や人事、社外の相談窓口に、記録と共に事実を報告し、不当な攻撃を「個人的な問題」にしないことです。
・ 事実と論点を分離: 相手の指摘に対し、感情を排し「事実として何が問題なのか」を問い返し、論点を整理し直す。
・ やり取りを記録・文書化: 理不尽な指摘や言いがかりの日時、内容、相手の言葉を詳細に記録し、全てを文書(メールなど)で残すように徹底する。
「言いがかり」で信頼を失うな
「方広寺鐘銘事件」の教訓を、各階層はどう活かすべきでしょうか。
経営層の視点
一時的な利益や優位性のために、取引先や競合に対して「揚げ足取り」や不当なクレーム手法を取ることは、企業倫理を深く毀損し、長期的なブランド価値を損ないます。誠実さと透明性を組織の最優先事項として掲げ、倫理的な基準を確立してください。。
管理層の視点
部下の些細なミスを「待ってました」とばかりに糾弾する行為は、信頼関係を破壊し、部下を萎縮させるだけの百害あって一利なしの危険行為です。ミスを攻撃材料にせず、育成の機会と捉えるコーチング視点を持つこと。部下が不当な「言いがかり」を受けている場合は、組織の盾となる役割を果たすべきです。
社員層の視点
理不尽な「言いがかり」は、相手の支配欲や不安から来る問題と切り離して捉えてください。感情的にならず、事実と客観的な証拠を揃えて対応すること。不当な攻撃に屈せず、冷静に状況を報告・相談することが、自らを守るための最優先行動です。
以上にて、「方広寺鐘銘事件」をパワーハラスメントの視点で考察しみてみました。
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