医療・介護現場における外国人スタッフの採用・定着で押さえておきたい10のポイント byケアマネ社労士@横浜
みなさんこんにちは。ディライト社会保険労務士事務所の正躰です。
以前は比較的大規模な病院や施設でしか見かけなかった外国人のスタッフ。
最近では小規模施設でも外国人スタッフの活躍を見かけることが多くなりました。
医療・介護人材の不足の解決の一助として、外国人スタッフの採用もずいぶんと一般的になってきたのかと思います。
ただし、やはり日本人のスタッフ採用に比べ、外国人労働スタッフの採用には注意を払うポイントもあります。
本日は、そのポイントをあげていきます!!
1.在留資格・就労条件の確認を最優先に行う
外国人を介護職員として雇用する際、最初に確認すべきは「在留資格」「在留期間」「就労制限の有無」です。これを誤ると、不法就労となり、本人だけでなく事業所も罰則の対象となります。
入職時には必ず在留カードを提示してもらい、
・在留資格の種類(特定技能・技能実習・留学・定住者など)
・在留期間の満了日
・就労制限欄(就労可/就労不可/資格外活動許可の有無)
を確認します。
介護でよく使われる在留資格
・「技能実習(介護)」
・「特定技能1号(介護)」
・「特定技能2号(介護)」
・「定住者」「永住者」「日本人・永住者の配偶者等」など就労制限がない資格
※留学生アルバイトの場合は「留学」+資格外活動許可(週28時間以内)
在留期間の更新や在留資格の変更が必要な場合、本人が行う手続きに事業所が書類提供などで協力することが求められます。医療・介護の現場は人手不足のため、つい「働けるならありがたい」となりがちですが、まずは在留資格のチェックを入社フローにきちんと組み込むことが重要です。
2.技能実習と特定技能の「制度の違い」を理解する
同じ「外国人介護人材」でも、技能実習と特定技能では制度の目的や位置づけが大きく異なります。採用・配置・教育計画を考えるうえで、この違いを押さえておくことが重要です。
技能実習(介護)
・目的:技能移転による国際貢献(人材育成が主目的)
・受入れ:送り出し機関・監理団体を通じて受け入れる
・在留期間:1号・2号・3号に区分(最長5年)
・転職:原則として他社への転職は不可
・計画:技能実習計画の作成・認定が必要
特定技能(介護)
・目的:人手不足分野の即戦力人材の受入れ(労働力確保が主目的)
・在留期間:1号は通算5年、2号は上限なし
・日本語・技能要件:日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト
分野別技能試験の合格、または技能実習2号修了者
・特徴:直接雇用が原則で、一定の範囲で転職も可能
今後は、技能実習制度が廃止され、新たに「育成就労制度」が創設される予定であり(2027年頃施行見込み)、技能実習から特定技能への移行がよりスムーズになる方向です。
3.採用時の求人内容・選考プロセスを適正化する
外国人であっても、日本人と同様に公正な採用選考が求められます。
求人票には「国籍」を条件とせず、あくまで
・必要な日本語能力(例:N3相当など)
・必要な資格(介護福祉士、実務者研修修了等)
・必要な経験(介護施設勤務○年以上 など)
といったスキル・能力を明確に記載します。
面接では、国籍や出身国ではなく、
・在留資格の種類(就労可能かどうか)
・介護業務経験
・夜勤・シフト勤務の可否
など、業務に関連する事項を確認することが重要です。
採用内定後に、正式に在留カードを確認し、在留期間・就労制限の有無を再確認します。
医療・介護ともに「生活の場」に深く関わる仕事であり、コンプライアンス違反は事業所の信用に直結しますので、採用段階から適正な運用を意識しておく必要があります。
4. 雇用後の届出・保険加入を漏れなく行う
外国人職員であっても、労災保険・雇用保険・社会保険は原則として日本人と同様に適用されます。
・労災保険:国籍に関わらず、業務災害・通勤災害は対象
・雇用保険:所定の加入要件を満たせば、日本人と同様に加入
・健康保険・厚生年金保険:適用事業所で要件を満たせば加入
また、外国人を雇い入れた場合、雇用保険加入の有無にかかわらず、「外国人雇用状況の届出」が必要です。
・雇用保険加入者:「雇用保険被保険者資格取得届」の提出により届出を兼ねます。
・雇用保険未加入者:「雇入れ・離職に係る外国人雇用状況届出書」を、入社日の翌月末までにハローワークへ届出ます。
在留カードのコピーをハローワークへ添付する必要はありませんが、在留資格・在留期間・在留カード番号等の情報を正確に記載する必要があります。
5. 労働条件・就業ルールを「わかる言葉」で丁寧に説明する
日本の労働・社会保険制度は、外国人にとって非常に分かりにくいものです。
採用時・入社時に、以下の事項を「やさしい日本語」や英語などで丁寧に説明し、書面でも渡しておくことが望ましいです
労働条件
・勤務場所・業務内容(介護業務の範囲、医療行為の禁止範囲等)
・勤務時間・シフト・夜勤の有無
・残業の有無と割増賃金の計算方法
・休日・休暇(有給休暇の考え方など)
賃金・控除
・基本給・各種手当(夜勤手当、資格手当など)
・社会保険料・所得税・住民税の控除
事業所ルール
・服装・身だしなみ
・個人情報・プライバシー保護
・インシデント・事故報告の流れ
厚生労働省は、外国人労働者向けの説明ツールや多言語資料を公開していますので、それらを活用することで説明の負担軽減やミスの防止につながります。
6.日本語教育・専門用語のフォロー体制を整える
介護・医療の現場では、専門用語や敬語表現が多用されます。日本語能力試験で一定レベルに達していても、現場で戸惑う場面は多くあります。
・業務で頻出する用語集(日本語+母語)を作成・配布する
・申し送り・記録の定型文を共有し、ロールプレイで練習する
・可能であれば、日本語学習の時間や費用補助(JLPT受験料補助等)を検討する
・医療用語・介護用語に特化した研修やeラーニングを活用する
日本語力の向上は、ケアの質だけでなく、本人のストレス軽減・チームとの信頼関係構築にも直結します。
⑦ 文化・宗教・価値観の違いを「組織として」理解・共有する
外国人職員の離職理由として多いのが、言語の問題だけでなく「文化・価値観のギャップ」による孤立感やストレスです。
事前に想定される違いを整理し、日本人職員向けに研修や勉強会を行う
例)時間感覚、家族観、宗教上の配慮(食事・礼拝・服装など)、男女観 など
利用者様・ご家族にも、必要に応じて
・外国人職員の配置方針
・コミュニケーション上の工夫
・などを丁寧に説明し、理解を得ておく
ハラスメント防止の観点から、
・国籍や宗教に関する不用意な発言をしないこと
・差別的な言動を見過ごさないこと
・を職員全体に周知しておく
医療・介護ともに「チームケア」が基本ですので、個人任せではなく、組織として文化の違いを受け止める姿勢が重要になります。
⑧ 相談窓口・メンター制度などの支援体制を用意する
外国人職員は、業務だけでなく、生活全般についても多くの不安を抱えています。定着のためには、仕事・生活双方に目を向けた支援体制が有効です。
相談窓口の明確化
・仕事の悩み:上司・教育担当者・人事担当者
・生活の悩み:支援担当者・登録支援機関(特定技能の場合)など
メンター制度
・同じ部署の日本人職員が「業務メンター」
・同じ国出身の先輩職員が「生活メンター」となるなど、複線型で考える
面談の定期実施
・入職後1か月、3か月、6か月…と節目ごとにフォロー面談を行い、不安や不満を早期に拾い上げる
特定技能1号の場合、事業所は「1号特定技能外国人支援計画」の策定・実施が義務付けられており、生活支援・相談体制も制度上の要件となっています。
9.シフト・夜勤・業務内容を在留資格の範囲内で設計する
医療・介護の現場では、早番・遅番・夜勤など多様なシフトが必要となりますが、在留資格の条件や健康面を踏まえた配置が重要です。
在留資格ごとの就労時間・就労範囲を確認する
・「特定技能」「技能実習」「定住者」等は、在留資格の範囲内でフルタイム就労が可能(業務内容の適合は要確認)
・「留学」+資格外活動許可の場合は、週28時間以内(長期休暇中は別枠)でシフトを必ず管理する必要があります。
夜勤について
・一般に、在留資格による深夜労働の制限はありませんが、留学生アルバイトなど、週28時間制限を超えないよう、シフト管理が重要になります。
・業務負荷や日本語力を踏まえ、いきなり夜勤専従とせず、日勤で十分に慣れてから段階的に夜勤に入るなどの配慮も有用です。
医行為との線引き
・介護職員として雇用する外国人に、看護師等の資格がない場合は、日本人職員と同様に、医行為に該当する業務は行わせないよう、業務範囲を明確化しておくことが大切です。
10.キャリアパスと評価の仕組みを共有し「長く働く理由」をつくる
外国人職員にとって、「この施設/この病院で働き続ける意味」が見えないと、在留期間の途中で離職・転職を選択するケースも少なくありません。
キャリアパスの提示
例)
・技能実習 → 特定技能1号 → 特定技能2号 → リーダー職
・特定技能1号 → 介護福祉士取得 → 正職員・リーダー など
資格取得支援
・介護福祉士国家試験の受験サポート(教材提供、受験料補助、学習時間の確保 など)
・日本語能力試験(N3→N2など)レベルアップ支援
評価・処遇の透明化
・評価基準を日本語・母語の両方で示し、「何を頑張れば賃金やポジションが上がるのか」を明確に伝える
・「外国人だから」という理由で一律に処遇を低くすることは、モチベーション低下・離職の原因になります。
まとめ
外国人介護人材の採用・定着は、「在留資格の確認」と「法令遵守」から始まり、「言語」「文化」「キャリア」まで幅広い視点が求められます。
①在留資格・就労条件の確認
②技能実習と特定技能の制度理解
③採用時の公正な選考と求人内容の明確化
④雇用後の届出・保険加入
⑤労働条件・就業ルールの丁寧な説明
⑥日本語・専門用語のフォロー
⑦文化・宗教・価値観の違いへの理解
⑧相談窓口・メンター等の支援体制
⑨シフト・業務設計と在留資格の適合
⑩キャリアパス・評価制度の共有
これらを一つずつ整えていくことで、医療・介護いずれの現場でも、外国人職員が安心して実力を発揮し、利用者様にとってもプラスとなる体制づくりにつながっていきます。
当事務所でも、外国人スタッフの採用について、皆様のご希望に応じたサポートを実施しております。
採用についてのの疑問点やご不安等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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以上



