【歴史から学ぶ労務管理】些細なミスで料理人を斬殺。雄略天皇の「感情暴走型パワハラ」を斬る byケアマネ社労士@横浜
目次
◆第6回目 歴史から学ぶ労務管理シリーズ
みなさんこんにちは。歴史的な事例を現代の法令に照らし合わせる「歴史から学ぶ労務管理シリーズ」です。
今回は少しニッチ路線をせめて行こうかと思います。今回の主役は第21代天皇でありながら『日本書紀』において「大悪天皇(はなはだあしきすめらみこと)」と評された雄略天皇の登場です。彼が料理人(膳部)に対して行った常軌を逸した行動を、現代のハラスメントや組織管理の視点から考察します。
「うちはまだ人数が少ないから……」と思っている経営者の方も、今回の改正で「対象」の境界線がグッと下がります。今回は、私の冷や汗エピソードと、「他社はどうやって乗り越えたか」という解決事例の重要性についてお話しします。

◆事例紹介:肉に「蟻」がついていただけで即刻死刑。絶対権力者の逆鱗
ある日の食事中、雄略天皇に捧げられた肉に一匹の「蟻(あり)」が付着していました。これを見た天皇は激昂。調理の責任者である膳部(かしわで)をその場で呼びつけ、言い訳を聞く間もなく、自ら刀を抜いて斬り殺したと伝えられています。
現代の感覚では到底信じられない事件ですが、当時の記録には、こうした「些細なミスへの過剰な暴力」が他にも多く記されています。
◆もはや指導ではなく「虐待」。恐怖政治が組織を腐らせる
雄略天皇の行動は、ミスに対する「指導」や「教育」の範囲を完全に逸脱しています。
心理的安全性の完全喪失: トップの機嫌一つで命を落とす環境では、現場は「より良い食事を作ろう」という意欲を失い、「いかに天皇の怒りに触れないか」という萎縮した行動のみに終始することになります。
予見不可能な地雷: 料理人にとって、蟻一匹の混入が「死」に直結するなどという予測は不可能です。
一発レッドカードの横行: 本来、ミスがあれば再発防止策を講じるのが組織の鉄則ですが、彼は「感情の爆発」という最短距離で排除を選びました。
◆現代なら完全な「パワハラ(身体的な攻撃・人格否定)」。法的に斬る
雄略天皇の振る舞いを、現代のパワハラ防止法や労働法に照らし合わせると、以下のような重大な違法性が浮かび上がります。
- 身体的な攻撃(パワハラ6類型): どんなミスがあろうとも、暴行を加えることは許されません。ましてや生命を奪う行為は、労働問題以前の「殺人罪」です。
- 不当な解雇(処分)の濫用: ミスに対する制裁が、その内容に対してあまりにも重すぎます(公序良俗違反)。解雇権の濫用どころか、基本的人権の侵害です。
- 安全配慮義務違反: 雇用主(統治者)には、労働者が心身の安全を確保しつつ働ける環境を整える義務がありますが、自らが最大の脅威となっている状態は、企業の存立基盤を自ら破壊していると言えます。
ただ・・・これ、もはやパワハラというより、現代なら普通に「殺人罪」レベルの話ですよね。
パワハラ防止法どうこうの前に、完全に刑法案件です。
とはいえ、「立場の強い者が恐怖で部下を支配する」という構図自体は、まさにパワハラの本質とも言えます。
現代の会社で例えるなら、社長がミスした社員に暴力を振るって組織全体を萎縮させているような状態で、当然そんな職場は成立しません。
今の労働法やパワハラ防止法は、こうした“権力の暴走”を防ぐためにあるんだな、と感じさせられますね。
◆あなたの職場にある「雄略天皇的ハラスメント」の予兆
刃物こそ出てこなくても、現代のオフィスには「雄略天皇」の影が潜んでいます。
トップの「個人的な怒り」の正当化: 「これは教育のためだ」「お前が悪いから俺は怒っているんだ」と、自分の感情コントロール不全を相手の責任にすり替える。
「一回のミス」でキャリアを断絶させる: 軽微な事務ミスに対し、全社員の前で激しく叱責し、配置転換や退職勧奨を強いる。
「気分」で変わる合格ライン: 昨日は「これでいい」と言った内容を、今日は「ゴミだ」と否定し、資料を投げつける。
◆各視点での対応策:第二の「大悪天皇」を生まないために
[経営層]: 「怒りはコスト」だと自覚してください。 トップの怒号一つで、優秀な社員のエンゲージメントは一瞬でゼロになります。感情コントロールはリーダーシップの最低条件であり、それができないトップは組織の最大のリスク要因(ブランド毀損・人材流出)であることを認識すべきです。 [管理層]: 「盾」となり「翻訳者」となってください。 トップの理不尽な怒りをそのまま現場に流してはいけません。上層部の「感情」から「実務上の課題」だけを抽出し、部下に伝えるのがマネージャーの職責です。また、組織的な異常を感じた際は、外部機関(社労士や弁護士)への相談や、内部通報制度の活用を迷うべきではありません。 [社員層]: 「逃げる勇気」は権利です。 「蟻一匹で斬られる」ような理不尽な環境で、あなたの忠誠心や努力を消耗する必要はありません。異常な暴力や暴言が常態化している職場は、もはや改善を待つ段階ではなく、物理的に距離を置く(退職・告発)べき緊急事態です。以上にて、些細なミスで料理人を斬殺。雄略天皇の「感情暴走型パワハラ」の視点で考察してみました。
雄略天皇は、その強引な統治で王権を強化した側面もありますが、歴史には「恐れられつつも激しく蔑まれた」姿が刻まれました。恐怖で人を動かそうとする手法は、短期的には効率的に見えても、長期的には必ず組織を自壊させます。
ディライト社会保険労務士事務所では、こうした歴史的教訓をベースとした「ハラスメント防止研修」を行っております。感情に支配されない組織づくりを、一緒に目指しましょう。
興味をもっていただけた経営者の皆様、担当者の皆様、ぜひ社員研修にご活用いただければと思います。
研修の他、労務に関する問題等もお気軽にお問い合わせください。
問い合わせフォーム:https://delight-sr.com/contact/
以上

